🏯 戦国の情報戦 × 現代の資産防衛

武田信玄なら、
秘密鍵をどう守ったか

戦国武将が命がけで守ったのは、領地でも兵でもなく「情報」でした。その発想は、いまの暗号資産とほとんど同じところに立っています。

暗号資産と聞くと、なんとなく怪しい、自分には関係ない——そう感じる方は多いと思います。

ですがその根っこにある考え方は、500年前の戦国武将が命がけで扱っていたものと変わりません。「正しい鍵を持たない者には読めないようにする」という発想です。

戦国期に使われたとされる「替え字」も、ビットコインの秘密鍵も、仕組みはまったく違いますが、この目的の部分では通じ合っています。

先にお断りしておきます。戦国の暗号と現代の暗号技術に、直接の系譜関係はありません。また、信玄自身が替え字を用いた書状が確認できているわけでもありません。この記事は、両者を並べてみると「情報をどう守るか」という問題について面白い共通点が見えてくる、という比較の試みです。投資をすすめるものでもありません。
侍もふねこ

もふねこだよ🐾 ボクも最初は「暗号資産=怪しいもの」だと思っていたんだ。

でも調べていくうちに、戦国の密書とまったく同じ考え方で作られていることがわかって、急に親しみがわいたよ。今日はその話をするね🐾

🏯 信玄が守っていたのは「情報」だった

武田家が諜報にあたる隠密の要員を運用していたことは、戦国期の確実な史料でも確認されています。

ただし、よく知られる「三ツ者(みつもの)」という呼称のほうは事情が違います。この呼称や組織の存在は、戦国期の確実な史料では確認できません。江戸時代の忍術書『万川集海』に「間見(遠くから敵を見る)」「見分(近づいて見る)」「目付(敵に紛れて聞き取る)」の三者をまとめて記した箇所があり、そこから広まったと考えられています(平山優「戦国時代の忍びの実像」『忍者研究』第3号、2020年)。

つまり「武田が諜報部隊を持っていた」までは確かで、「三ツ者と呼ばれる組織があった」は確かではない、というのが現在わかっていることです。

また戦国期には「替え字(かえじ)」——文字を別の字や記号に置き換える換字式暗号——が用いられたとされます。手紙が敵に奪われても、変換表を持たない者には読めない

ここで注目したいのは、守られる対象が「手紙そのもの」ではないという点です。暗号という仕組みは、そもそも紙は奪われうるという前提に立っています。だから守るべきは変換表=鍵のほうになります。

⚠️ ただし、換字式暗号は決して強くありません

同じ文字がいつも同じ記号に置き換わるので、文字の出現頻度を数えれば破れてしまいます(頻度分析)。当サイトの忍者の暗号術の記事でも触れているとおり、現代のコンピュータなら数秒です。発想は現代の暗号と同じでも、強度はまったく違います。

教授もふねこ

ここ、すごく大事なところだよ。「紙を奪われないようにする」んじゃなくて、奪われても平気な状態にしておく——そっちを選んだんだ🐾

🔐 実は、あなたはもう「鍵」を使っています

いま開いているこのページのURLは、https:// で始まっているはずです。

この s は飾りではありません。あなたのスマホとこのサイトの通信がHTTPSで保護されている、という意味です。HTTPSは内部でTLSという仕組みを使い、公開鍵暗号で相手を確認して鍵を交換したうえで、実際のデータのやり取りは共通鍵暗号で行います。つまり私たちは、暗号資産に触れるずっと前から、毎日「鍵で守られた通信」を使っています。

⚠️ ここは誤解されやすいので先に書いておきます

HTTPSが保証しているのは「通信を途中で盗み見されにくい」ことだけで、「そのサイトが信用できる」ことではありません。詐欺サイトもHTTPSを使います。

かつてブラウザのアドレスバーに出ていた鍵のマークは、まさにこの点が誤解されやすいという理由もあって、Chromeでは2023年に別のアイコンへ変更されました。鍵マークを安全の証だと思っている人は、いま危ないということです。

さて、通信の話に戻ります。HTTPSと暗号資産で違うのは、その鍵を誰が管理するかです。HTTPSでは、接続ごとに使う鍵をTLSの仕組みが自動的に用意して管理するので、利用者が意識することはありません。しかし暗号資産では、資産を動かすための秘密鍵を利用者自身が管理する方式があります。

👉 鍵マークの正体(TLS)を読む

教授もふねこ

「暗号資産って自分には遠い世界だな」と思っていた人ほど、ここは驚くところだよ。あなたはもう暗号の世界の住人なんだ🐾

🔑 暗号資産で本当に守るものも「鍵」

暗号資産を持つというのは、正確には「コインを財布に入れて持ち歩く」ことではありません。秘密鍵(プライベートキー)を持っているという状態です。

ビットコインのような公開型(パブリック)のブロックチェーンでは、取引の記録は誰でも見られる公開情報です。隠されていません。にもかかわらず、その資産を動かせるのは秘密鍵を持つ人だけ——これは戦国の密書と同じ構造です。

戦国の密書暗号資産
第三者に見えるもの奪われた紙・意味不明な文字列公開型ブロックチェーン上の記録(誰でも閲覧可)
本当に守るもの替え字の変換表秘密鍵
失うとどうなるか味方も読めなくなるバックアップ(シードフレーズ)がなければ、本人も二度と動かせません
教授もふねこ

表の一番下、ちょっと怖いよね💦 昔の暗号なら、変換表をなくしても最悪その場にいた人に聞けたかもしれない。でも暗号資産の鍵は、自分で控えておかないと誰にも聞けないんだ。

ボクも最初これを知ったとき「そんな仕組みで大丈夫なの⁉️」って思ったよ🐾

⚔️ 【思考実験】信玄なら、秘密鍵をどう守ったか

⚠️ ここから先は史実ではなく「もしも」の思考実験です。信玄が実際にどうしたかを記した史料はありません。当サイトが現代の視点で想像したものとしてお楽しみください🐾

もし信玄が現代の秘密鍵を管理するとしたら、1か所に集めない方法を選んだかもしれません。

ヒントになるのは、信玄が残した何かではなく、戦国という時代そのものの設計思想です。

戦国期の城の多くは、堀や土塁、曲輪(くるわ)などを組み合わせ、複数の防御線を設ける縄張りになっていました。ひとつの区画で守り切るのではなく、「破られること」を前提に層を重ねる。一撃ですべてを失わない形にしておく、という考え方です。

👉 戦国の城に学ぶ多層防御を読む

この発想を、現代の秘密鍵に当てはめてみます。

  • バックアップを複数の場所に分ける(1か所が焼けても終わらない)
  • 資産の置き場所を分ける(全部をひとつの場所にまとめない)
  • 誰にどこまで教えるかを決めておく(家族には保管場所だけ、鍵そのものは別)

逆に選ばなかったであろうやり方は、すべてをひとつの城に積み上げることでしょう。落城したら終わり、という状態を戦国武将が選ぶとは考えにくいからです。

侍もふねこ

「分けておく」って地味だけど、これが一番効くんだよね。派手な対策より、壊れたときに全部は失わない形にしておくほうが強いんだ🐾

🛡️ 500年で変わったこと——守る責任が個人に移った

変わらないことは、「正しい鍵を持たない者には、元の情報を簡単には復元できないようにする」という暗号の基本的な考え方です。替え字暗号、AES(共通鍵暗号)、RSA(公開鍵暗号)は、仕組みそのものは大きく異なりますが、この目的の部分に共通点があります。

変わったことは、その鍵を守る責任が、組織から個人に移ったことです。

戦国大名には家臣団があり、城がありました。しかし現代の私たちが暗号資産の秘密鍵を持つとき、守ってくれる組織は基本的にいません。ここは戦国時代より、むしろ厳しくなった部分です。

だからこそ、暗号資産に触れるときは慎重さが要ります。

  • まずは少額から。いきなり大きな金額を動かす必要はまったくありません
  • 老後資金や生活費とは必ず分ける。失っても生活が壊れない範囲に留める
  • 価格は大きく上下します。増えることも減ることもあり、最終的には自己責任です

❓ よくある質問(FAQ)

Q. 「三ツ者」は実在したのですか?

武田家が諜報の要員を運用していたことは、戦国期の確実な史料でも確認されています。ただし「三ツ者」という呼称や、その名の組織があったことは確認されていません。江戸時代の忍術書『万川集海』が「間見・見分・目付」の三者をまとめて記しており、そこから広まったと考えられています(平山優「戦国時代の忍びの実像」『忍者研究』第3号、2020年)。

Q. 武田信玄は本当に暗号を使っていたのですか?

信玄自身が暗号を用いた書状は、確認できていません。『甲陽軍鑑』などには信玄が諜報にあたる者たちを用いていたとする記述がありますが、諜報活動があったことは、暗号を使っていたことの証拠にはなりません。戦国期に「替え字」のような文字の置き換えが用いられたとされることと、信玄個人がそれを使ったかどうかは、分けて考える必要があります(※『甲陽軍鑑』は戦国期の記録を含む一方、成立過程や内容の評価について研究上の議論がある史料です)。

Q. 暗号資産は結局、詐欺ではないのですか?

暗号資産そのものは暗号技術で動く仕組みであり、詐欺ではありません。ただし、その仕組みを悪用した詐欺は実際に数多く存在します。「怪しい」と感じる警戒心は正しいものなので、捨てる必要はありません。手口を先に知っておくことが、いちばんの防御になります。

Q. 秘密鍵をなくしたら、本当に取り戻せないのですか?

秘密鍵そのものを失っても、シードフレーズ(復元用の合言葉)を控えてあれば復元できる場合があります。逆に言えば、その控えも失うと復元手段がなくなります。詳しい手順は姉妹サイトで解説しています。

Q. 少しだけ試すことはできますか?

少額から購入できるサービスもあります。ただし最低購入額はサービスごとに異なり、変更されることもあるため、実際の金額は各社の最新情報をご確認ください。

ひとつ補足があります。取引所に預けている間、秘密鍵を管理しているのは取引所です。この記事で書いてきた「自分で鍵を守る」という話が自分ごとになるのは、自分のウォレットに移してからです。まずは取引所で少額を触ってみて、仕組みに慣れてから考えれば十分です。本記事は購入をすすめるものではありません。試す場合も、生活費や老後資金とは切り離した範囲にとどめてください。

☕ ここから先は、姉妹サイトへ

ここまで読んで、たぶんひとつ疑問が残っているはずです。

「では、その鍵を自分で持つのと、どこかに預けるのと、どちらが安全なのか」

その答えは、この暗号カフェではなく、姉妹サイト『暗号資産カフェ』にあります。もふねこが実際に手を動かして書いたものです。

教授もふねこ

ボクは「買ったほうがいいよ」とは言わないよ。決めるのはあなただからね。

でも「よくわからないから怖い」で止まっているなら、それはもったいないと思ってる。信玄だって、敵を調べてから動いたよね🐾

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