エニグマ暗号機の最大のすごいところ
古代の「シーザー暗号」や「戦国時代の換字表」には、一つだけ大きな弱点がありました。
それは、「一度『AはDになる』というルールがバレたら、すべて読まれてしまう」ということです。
しかし、エニグマは違います。
エニグマの最大の特徴は、文字を打つたびに「機械の中の歯車(ローター)が回転し、一文字ごとに暗号のルールが変わる」点でした。
- 1文字目の「A」を打つと → 「F」が出力される
- 2文字目の「A」を打つと → 「P」が出力される
- 3文字目の「A」を打つと → 「Q」が出力される
このように、同じ「A」を打っても毎回違う文字に変換されるため、暗号文をいくら集めても、パターン(法則性)を見つけることが極めて困難でした。
⚙️ エニグマ暗号機シミュレーター
実際にローター(歯車)の動きを体験してみましょう!
キーボードのアルファベットをクリックするか、PCのキーを叩いてね。
▼ 現在のローター設定(キーを打つと回転します) ▼
▼ 暗号化されたメッセージ(出力ランプ) ▼
難攻不落のエニグマ、どうやって解読したの?
設定パターンが「約1590京(けい)通り」もあると言われたエニグマ。
当時の人間の手計算では、宇宙が滅亡するまで計算しても解読できないとされていました。
天才数学者 アラン・チューリングの登場
ドイツ軍が毎日変更するエニグマの設定を解読するためにイギリスが結成したチームの中心人物が、数学者のアラン・チューリングです。
チューリングは「機械が作った暗号は、機械でしか解けない!」と考え、エニグマの仕組みを逆算して解読する『Bombe(ボンベ)』という巨大な計算機を発明したんだよ🐾
解読の決め手になった「ヒューマンエラー」と「構造の弱点」
実は、エニグマには構造上「入力した文字が、自分自身(同じ文字)に変換されることは絶対にない」という致命的な弱点がありました。
つまり「A」を打って「A」が光ることは100%ありません。
さらに、ドイツ軍の通信兵が「毎朝の天気予報メッセージで必ず同じ単語(WETTER:天気 など)を使う」といった人間のクセ(ヒューマンエラー)を見抜いたことで、チューリングの機械(Bombe)は驚異的なスピードでエニグマのその日の設定を特定できるようになりました。
この解読機が「コンピュータの原点」に!
エニグマを解読するためにチューリングたちが作った計算機は、その後の歴史において「コンピュータ」へと進化していきます。
もしエニグマという難解な暗号が存在しなければ、今私たちが使っているスマホやパソコンの誕生は、何十年も遅れていたかもしれません。